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木村喜由のマーケットインサイト 2013年7月号

7 月は日柄の急所、利食いできる銘柄は外せ

重要イベントと日柄、アストロロジーの変化日が集中

6 月の雇用統計が想定しうる最良の結果となって米国株が再び史上最高値に接
近しているが、QE=量的緩和のテーパリング(段階的削減)は必至の情勢となった。
一方日本では参議院選で自民党の大勝は確定的で、ねじれ国会の解消により政治
の意思決定の加速が期待されている。12 月の衆議院選後の急騰の記憶があるた
め、どうやら今回もそれを先取りした結果が、足元の急反発のようだ。
しかし国会のねじれが解消したからといって、日本の政治が一気に改革に突き
進むと考えるのは間違いだろう。というのは小泉純一郎氏が一番肝腎の課題だっ
た消費税引き上げという不人気な課題を、選挙の勝利が優先と頬かむりして逃げ
たのと同様に、安倍首相も年金社会福祉の抜本改革を始め重要課題に何ら手を付
けずに選挙に臨んでいるからだ。選挙後の改革実行には大きな疑問符が付く。
安倍人気に乗じて党勢が回復したのを良いことに、改革に反対する勢力が非常
に多いということだ。前回の衆院選と今回の都議選で明らかになったことは、対
立勢力に投票する魅力がないと基礎票に依存する自民、公明、共産の 3 党が勝つ
ということである。衆院選大勝後の安倍氏の顔に笑みはなかった。他党が乱立の
結果自滅しただけで自民党への投票はほんの少ししか増えていなかったからだ。
参議院選も低投票率が濃厚で、自公の圧勝は間違いなしだが、あえて言えば選
挙直後の上昇場面は絶好の売り場になると思う。TPP も薬品のネット販売も、方
針決定直後に自民党内から盛大なむしろ旗が上がっている始末。選挙後に内外か
ら矢継ぎ早に寄せられる課題への取り組みへの質問に、首相はことごとく失望を
伴う回答を返す公算が強い。緊張感がなくなればすぐにずるける自民党の体質に
変わりはない。外国人が失望する様子が目に浮かぶ。
7 月は大恐慌時の NY ダウ安値 1932 年の 40.56 ドルから満 81 年となる。
これは黄金分割の 1.618 の 50 倍の数字。この中間である 40.5 年(162 四半
期)前の 73 年 1 月はダウが史上最高値を付け、その後長い下落に入った重要日柄。
しかもこれから西洋占星術では 2 世紀に一度くらいしか起きない複数の座相が立
て続けに起きる。先に大吉相、直後に大凶相が。多少のタイムラグがあるとして
も、相当大きなスケールのトレンド転換を警戒すべき時期なのである。

為替相場のトレンドが読みにくい、まずはリスク回避で

ドル円相場には比較的鮮明な 9-12 か月前後のサイクルが存在し、年後半にド
ルの安値を付けることが多い。今回は久々の円安ドル高トレンドであるため、若
干タイミングにズレがありうるが、前回安値が 9 月だったことから通常のリズム
なら今月から来月に掛け安値(ドル安)に向かいやすい。
雇用統計の数字が余りに強かったために足元ではドル高ムードが強くなってい
るが、直前高値 103.74 円を付き抜けることがない場合、再び 93 円台に向かう
公算が強い。その際のポテンシャルな理由としては欧州や中国景気への不安、ド
ル堅調が引き起こす途上国への投資マネーの逆流(98 年の事例に類似)、一時後退
していた米国財政の問題などが挙げられる。
選挙後は 99%以上の確率で消費税率の引き上げが決定されるだろう。年度内
は駆け込み需要で景気はいいだろうが、引き上げ実施の 4 月以降の反動減は確実
だ。しかもその先に 10%への引き上げが待っている。当然株価は先を読む。だ
が先を読むにも、前代未聞の二段階引き上げでは、ゴルフのパットに二段グリー
ンと同様でどう曲がるか読みきれず、積極的に買いに出られないと思う。
ただでさえ不安定、不透明な投資環境に輪を掛けるのがヘッジファンドによる
市場のかく乱である。市場の注文が薄い時間帯を狙ってドル円と日経 225 先物
に一方的な注文を出して大きく動かし、虚を突かれた小口投資家のロスカット注
文を誘発させるのである。また、トレンドに後追いするタイプのヘッジファンド
も少なくなく、本来あるべき水準よりも上下に振幅しやすいのである。4 月以降
のマーケットの荒っぽい動きを思い出していただければ納得されると思う。
このような相場では、通常の価格変動で留まると考えるべきでない。上昇場面
ではやや高めの利益確定の注文を、下げ局面ではあまり遠慮せず安値の買い指値
を入れておくのが賢明である。注文が届かないまま相場が反転した場合、今度は
一切欲張らずに時価で注文を執行してしまうのが正しい対応である。これは主に
短期売買中心の投資家向けの話だが、長期投資家にとっても無駄ではない。
長期的に見れば日本株は大きな上昇トレンドに入っており、その過大な第一波
の反動にある。おそらくこの調整は 8 月一杯掛かりそうな気がする。その後政治
や中国、欧州などの懸念材料を処理した後、2-3 か月ほどリバウンドに向かう
と見ている。金星の逆行が起こる年末年始にもう一度波乱場面がありそうだが、
その後円安を追い風にもう一度高値に向かうと見ている。(了)