木村喜由のマーケットインサイト 2013年1月号
運命の日柄 40 年半が到来する 7 月に注目
日米株価の大天井を規定した黄金分割日柄 した黄金分割日柄が接近中
今年最初のレポートなので、年間を通じたヒントになる話題から始めよう。過
去 100 年間の世界重大経済事件トップ 5 に、大恐慌とリーマンショックが入る
のは間違いあるまい。日本なら平成バブルの生成崩壊とその後の長期デフレだ。
あらゆるマーケットにおいて黄金分割日柄が転換点に合致していたことはベテ
ラン相場観察者において常識でもある。天の摂理か偶然か判らないが、これらに
まつわる相場の天底が黄金分割の数値に絡んだインターバル(日柄)や価格水準で
出現したことは知っておくべきである。
黄金分割はフィボナッチ数列として知られる 1,1,3,5,8,13,21,34,55,・・・
すなわち隣接する二つの数値の和を次に記入することで出来る数列において、隣
接する数値が最終的に接近する比率 1:1.618 で、自然現象や生物の姿に普通に見
られる比率でもある。0.618 も、1 との差でもある 0.382 も、その半分である
0.191 も倍数の 0.764 もその親類であるし、そもそも 1 も 0.5 も 0.25 も 0.1
も黄金分割比率の範疇にあり 10 倍、100 倍と桁が変わっても通用する。
相場における日柄や値幅でも黄金分割が頻発しており枚挙に暇がない。ただし
年、四半期、月、週、日など多様な時間枠でカウントでき、転換点の候補となる
数値やタイミングも多数あるので、日常的に応用している投資家は案外少ない。
だが過去に実績のある超大物といえる重要な日柄が訪れる場合、その信頼性は格
段に高いため、これを無視して相場に臨むのは愚かしい。
NY ダウの大恐慌時の安値は 1932 年 7 月の 40 ドル。そこから 162 か月×
2(40 年半)経過した 73 年 1 月に 1067 ドルで高値を打ち、23 か月後に 570
ドルで底入れした。この 73 年 1 月から再び 40 年半カウントすると 2013 年 7
月になる。黄金分割と一目均衡表などでいう対等日柄が合致するタイミングでも
ある。この日柄は、東証再開の 1949 年 5 月から史上最高値 89 年 12 月までと
わずか 1 月違うだけである。今年 7 月は高値か安値か判らないが転機ではあろう。
ドル円では固定相場時代が終わった 1971 年 8 月のニクソンショックから
162 か月毎に相場の転換点が訪れている(85 年 2 月、98 年 8 月、2012 年 2
月)。その時期の最高値・安値とは限らないがそこから明確に動きが変わっている。
現在はバブル的状況、、、それを 、承知で短期売買か逃げるかの選択
本稿執筆の 12 日時点で直近のシカゴ 225 先物 10910 円、ドル円は 89.35
円という驚くべき水準である。上げの起点だった 2 か月前の安値から 26.6%、
12.8%の上昇。株価の上昇速度は 05 年郵政解散の当初 2 か月の 18.7%、
4.5%をはるかに上回る。ドル換算ではどちらも 14%前後というのは面白い。
急騰に繋がった主因は、何よりも予想外の大幅な円安だ。総選挙の結果を見て
上げを主導した投機筋は 84 円付近で一斉に利益確定売りを出したが、その後外
国人の日本の債券売りが殺到し 10 立会日で 5 円近い急激な円安となった。安倍
政権の断固たる円安誘導と反デフレの姿勢に、抱えていては損するばかりの債券
投資家がパニックに陥った模様である。これにより日経 225 は重要な抵抗線と
見られた 10250 円付近をマドを空けて突破し、そのまま一気に 6%以上突っ走
っているがドル換算の価格ではほぼ横ばいでなのある。
株価は上がったが年明け以降外国人の買いは細っている。当然だろう。株価も
為替も短期・中期移動平均からの乖離率は歴史的高水準で、投資価値を求める長
期投資家にとって魅力が減ったからだ。逆に保有株の含み損が減り担保余力が増
えた上に信用取引の条件が大幅緩和されたことから、個人投資家の短期売買が激
増している。外国人の売買に対する個人の売買代金の比率は 12 月 1-2 週は
30%弱だったのが第 3 週 34.8%、第 4 週 51.7%、年明け一段と上昇した模様。
これが売買代金が 2 兆円付近で高止まりしている背景だ。
ズバリ言えば今回の上げは安部政権への期待先行と海外金融緩和の追い風に加
え、過剰な財政の崖回避歓迎が重なったもので、内実は伴っていない。輸出が増
えていないため円安はメリットを受けるより、デメリットの方が大きいくらいだ。
緊急経済対策も大半が一過性で、その後の成長率アップを窺わせるものではない。
乖離率も騰落レシオも記録的高水準では買いは勧められない。
とはいえ経済成長にことごとく反する政策を取っていた民主党政治の重石が取
り除かれたことは大きく、久々に株でも「やってみようか」という気分が横溢し
ているのも事実。新規口座開設も活発だ株なら何でも上がった 05 年秋以降の新
興市場ブームに似た雰囲気もある。こうなると理屈ではなく、面白そうな銘柄に
は徹底的に付いて行く参加者が殺到する。目先は出遅れ感のある銘柄は何でも一
通り買われ、その後一気に全体が下落する場面があると見る。目先は 22 日の日
銀会合後が一つの転機となろう。大商い急騰場面では利益確定を。 (了)